数年前の私の失敗談です。
私は一塁審をしていました。今となってはアウトカウントもどこにランナーがいたのかすらも覚えていませんが、その時の打球は、一塁線上のベース後方、ファウルかフェアか微妙なところにフライが上がりました。私の頭上から落ちてくるような打球です。私は野手の動きを確認しながらラインをまたぎボールを見上げます。一塁手が危なっかしく後退しながらフライを追います、と同時に二塁手が私の右側から視界に入ってきました。その打球はあえなく誰にも捕球されず、私はその場でフェアとジャッジしました。すると、ボールを拾った二塁手が、すかさず一塁ベースカバーに入った投手へ送球し、打者走者と間一髪のプレーに。
その時の私の視界には、ベースカバーに入った投手、フライを追いかけていた一塁手が重なり、一塁でのプレー、野手・打者走者の触塁が見えない状況、私自身が二塁手から一塁への送球を予測していなかったこともあり、とっさに角度をとることもできませんでした。「あ、やばい、見えない。(アウトかセーフかわからない)」そう思った私は、一瞬の間を置き、左の掌を球審に差し出し、ジャッジをお願いしました。球審からアウトのコールを得て、事なきを得ましたが、私の焦った表情が物語っていたのでしょう、一塁側ベンチからは失笑。私は平成を装うことが精いっぱいでした。
試合後のミーティングで、球審から「あれは見えてないな、と思いましたよ~」とコメントを頂戴し、感謝しきりでした。
選手たちにも伝えているのですが、一つ先、二つ先のプレーを予測しておくことの大切さを学んだ失敗経験でした。