先日の反則打球の処置ミスに関連して、ボールデッドとその処置について整理しておきたいと思います。

 

【即時ボールデッドとなるケース】
(1)審判が「タイム」を宣告した場合。
(以下、(3)以外は「タイム」を宣告し、プレイを止める)
(2)投球が打者の身体や着衣に触れた場合。
  いわゆるデッドボール/死球の場合や、ストライクゾーンで打者に触れた場合(ストライク)
  打者が投球を避けなかった場合
  スイングした(しようとした)際に投球に当たった場合など
3)ファウルボールが捕球されなかった場合。
4)打球がプレイングフィールドの外に出た場合。
5)投球や送球がプレイングフィールドの外に出た場合。
6)飛球を捕球した野手がベンチなど、プレイングフィールドの外に足を踏み入れた場合。
 →各走者は一つ塁を進む
7)守備妨害が発生した場合(打者による妨害、走者による妨害、審判による妨害、ベースコーチによる妨害、観客・関係者による妨害)。
8)オブストラクション/走塁妨害が発生した場合で、妨害された走者に対して直接のプレイが行われていた場合。
 →対象の走者は少なくとも一つ塁を進み、これにより押し出される走者も進む
9)反則打球の場合。
 →走者は投球時点の位置に戻す
10)故意落球が宣告された場合。
 →各走者は戻る
11)インフィールドフライと宣告された飛球が、捕球されず走者に当たった場合。
 →塁を離れている走者に当たった場合は走者アウト、塁上の走者に当たった場合は走者はアウトにならない(守備機会は終わっていると判断)
12)投球が球審や捕手のマスクや用具、金網などに挟まって止まった場合。
 →各走者は進む、その投球で三振かつ振り逃げができる状況下の場合は打者も一塁へ進む
 (ファウルチップした打球が挟まった場合はファウル)
(13)投球がホームスチールを企てた走者に当たった場合。

【プレイ継続し、落着後「タイム」宣告によりボールデッドとするケース】
A)打者が、盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の動作を妨害した場合。
 →走者をアウトに出来た場合には妨害はなかったものとする。
 →アウトに出来なかった場合やランダウンプレイが始まろうとした際には、「タイム」を宣告し、走者は妨害発生時に占有していた塁に戻す。その投球で打者が三振アウトとなった場合、守備対象の走者をアウトにする。(26.守備妨害発生時の処理
B)球審が、盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の動作を妨害した場合。
 →走者をアウトに出来た場合には妨害はなかったものとする。
 →アウトに出来なかった場合やランダウンプレイが始まろうとした際には、「タイム」を宣告し、走者は妨害発生時に占有していた塁に戻す。
(C)打撃妨害が発生した場合。
 →妨害にもかかわらずプレイが継続され、打者および全走者が1個以上進塁できた場合は妨害はなかったものとする。
 →それ以外の場合にはプレイが落着した時点で審判が「タイム」を宣告し、走者を投球時点に占有していた塁に戻し、打者に一塁を与え、押し出される走者は進む(監督選択権あり)。
 →スクイズプレイが企てられていた場合は得点を認める。
 →盗塁を企てていた走者には進塁を認める(次塁が空いているかダブルスチールの場合に限る)。
(D)投球に対してボークが宣告された場合。
 →宣告にもかかわらずプレイが継続され、打者がボークの投球を打つなどして、全ての走者が一つ以上進塁した場合にはボークは無かったものと見做してプレイは続けられる。
 →宣告にも関わらず投球され、捕手が捕球した時点で「タイム」、ボークの処置をする。
 →宣告にも関わらず牽制球が送球され、ランダウンプレイが始まろうとしたような場合でも、牽制球を野手が捕球した時点で「タイム」、ボークの処置をする。
 →宣告にも関わらず牽制球が送球され、それが悪送球となった場合、走者が進塁に進塁がなくプレイが落着した時点で「タイム」、ボークの処置をする。各走者がボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとした場合は、ボークとは関係なくプレイは続けれらる。
 →それ以外の場合にはプレイが落着した時点で審判が「タイム」を宣告し、各走者を一つ進める。
(E)ベースコーチの肉体的援助が発生した場合。6.01(a)(8)
 →無死もしくは一死で、塁上に複数の走者がいる場合に、肉体的援助が発生した走者に対して送球など直接プレイが行われていない場合は、即ボールデッドとせずプレイが落着するまで待つ。→守備側が他の走者に対する守備行為を継続できるように。
 一方で、
 →二死の場合に、走者に対するベースコーチの肉体的援助が発生した場合は、即アウトとする。
 →無死もしくは一死で、塁上に単一の走者しかいない場合に、その走者に対する肉体的援助が発生した場合は、即アウトとする。
 →無視もしくは一死で、塁上に複数の走者がいる場合に、肉体的援助が発生した走者に対して送球など直接プレイが行われていた場合は、即ボールデッドとする。該当の走者をアウトとし、その他の走者は、反則発生時点の専有塁にとどめる。→「野球審判員マニュアル第4版 P162 『ベースコーチの肉体的援助 例題2」参照。